日本中央バスの旅
 −新宿〜太田〜仙台−

2.BUSターミナルおおた→仙台駅前「SGライナー」宮城交通便
23:00過ぎに熊谷駅からのシャトルバスが到着し、バスからの下車客で一瞬だけバスターミナルの待
合室は活気がありましたが、すぐに帰宅の途へ散り散りになってしまい、再び秋の虫の声だけが聞こ
えるのどかな雰囲気に舞い戻ってしまいました。

BUSターミナルおおたは、太田市が交通結節点として力を入れて整備してきた総合バスターミナル
です。
バスターミナル敷地内には230台が入る駐車場を備え、自家用車で来た人達が気軽にバスへ乗り換え
られるパーク&バスライドシステムを採用しています。
バスターミナルには10バースもの乗り場があり、太田市が運行する市内循環バス(シティーライナー
おおた「そよかぜ」)、周辺町村と太田市を結ぶバス「あおぞら」が乗り入れる以外にも、関東自動
車と千葉交通が共同運行する成田空港行き「メープル」号、矢島タクシーが運行する熊谷駅南口への
シャトルバス「OTA CITYシャトル500」、国際十王バスが会員バスとして運行する「お台場直行便」
などのバスが乗り入れます。
そして日本中央バスもここを拠点として、名古屋・京都・大阪行きと、金沢経由京都・大阪行きの
「シルクライナー」が乗り入れるほか、さきほど私が乗ってきた新宿ヒルトン東京行き「新宿ライナ
ー」、羽田空港行き「リムジンバス」、そして今夜乗車することになる仙台駅前行き「仙台ライナー
(日本中央バスの愛称)」が乗り入れています。
BUSターミナルおおたは、太田市のみならず東毛地域の一大交通ターミナルとして機能しているよ
うです。

ちなみに、ここと似たようなところが伊勢崎市内にも「まちかどステーション広瀬」という名のバス
ターミナルがありまして、日本中央バスもシルクライナーを始めとした高速バスがここを経由してい
ます。
BUSターミナルおおたの待合室は、0:30に仙台行き、3:00に名古屋・京都・大阪行きが発車するた
め夜通し営業しているようで(ただし公式に確認していません)、警備員も常駐しています。

仙台行きの乗客は私だけかと思いましたが、待合室内に仙台銘菓「萩の月」の手提げ袋を持った人を
見かけたので、直感的に「この人は仙台行きの乗客だ!」と分かったのでした。これでもう1人ぼっ
ちから開放されます(安堵)。
待合室内で仙台行きをひたすら待ち続けていましたが、外国人らしき人が2人でやってきました。
そして警備員を姿を見かけると、しきりに京都へ行く日本中央バスの「シルクライナー」について質
問していました。
質問している内容に聞き耳を立ててみると(趣味悪い)、3:00発の名古屋・京都・大阪行きに乗りた
いけど、予約を取っていないので空席はあるのか?ということでした。
しかし、警備員にそんなことを質問されてもバスの予約状況を知るはずもなく、回答に苦慮していま
した。

BUSターミナルおおたには高崎バスセンターに設置されていたような高速バスの発券端末機がない
ため、日本中央バスの発券を委託されている関東バス観光(栃木県の関東自動車の愛称は「関東バ
ス」)の予約センターの営業時間外だと高速バスの予状況すら分からなくなってしまいます。
さらに運行事業者の日本中央バス予約センターも9:00〜18:00が営業時間なので、夜中になってしま
うと問い合わせ先もありません。
これではどうしようもない、八方塞がりだと思いきや、実は1つの問い合わせ先があることを警備員
も外国人も気がついていない場所に書かれていたのでした。
その場所とは、日本中央バスのバス停ポールのことです。
バス停ポールには緊急連絡先として予約センター以外、たぶんバス営業所だと思われる電話番号が書
かれているのでした。
でも、その緊急連絡先の電話番号は待合室内に掲示されておらず、よほどバスを知っている人か注意
深い人でない限り、「バス停ポールを見れば良い」という発想は浮かんでこないのでしょうね。
ましてや外国人が見つけることなど不可能に近いことです。
せっかくバス停ポールにいろいろと細かい情報が書いてあったとしても、待合室内にそれらの表記や
掲示がないのは不親切であり、早急に改善すべきだと思いました。
発車時刻の0:30が近づいてきたので、私もバス停ポール1番乗り場に行ってみると、さらに2人のバ
ス待ち客らしい人がいました。
これで今夜の仙台行き乗客は私を含めて4人ということになるようです。
しかし、深夜にも係わらず4人もいるとは正直なところ驚きました。
ようやくバスの発車時刻である0:30になりましたが、まだバスはやってきません。
既に到着してから1時間45分が経過しています。
きっと途中のバス停が多いために遅れているのでしょう。
私は、ほとんどぼーっとした状態でバスを待ち続けていました。

0:45ついに仙台行きのバスがやってきました。
事前に予約センターへ確認していたとおり宮城交通のバスでしたので、少々がっかり。
ま、群馬県内で見る宮城交通も貴重な存在と考えれば良いかなと思うことにしました。
バス停で待っていた2人、待合室で待っていた1人、そして私を含めた乗客4人と思いましたが、バ
ス停で待っていた2人のうち1人は見送りに来たようです。
夜遅く発車するバスなので、車で送迎してきたのかもしれません。
BUSターミナルおおたで3人を乗せた宮城交通バスは15分遅れで発車しました。

バス車内に入って驚いたのが多くの乗客がいたことでした。ざっと数えて20名ほどでしょうか。
群馬県内から仙台までこれほど高速バスを使っている人がいるとは思いませんでしたので、非常に驚
きました。
これもバスが群馬県内を丹念に藤岡、高崎、前橋、伊勢崎、太田と細かく停車している利便性が受け
入れられた結果なのでしょう。
それにしても、この乗車率はたいしたものです。最初に乗ってきた新宿ライナーとは比較になりませ
ん。

今日の運用に付いた車両は、宮城交通の高速車専用カラーをまとった三菱ふそうエアロバス。高さは
夜行高速バスで見慣れたスーパーハイデッカーではなく、最近出始めている廉価版高速バス車両の定
番となっているハイデッカーでした。
車内には独立3列シートが配置されていますが、それも1列目から7列目までであり、8列目以降は
2人がけロマンスシートが配置されていました。
トイレはハイデッカー特有の最後部に設置されています。
確認はしませんでしたが、乗務員仮眠室も車両最後部にあることでしょう。
心なしかシート間の通路が広めに感じましたが、その分シートが若干狭くなっているような…。
座席にはフットレスト(足受け台)はありましたが、レッグレストは装備されていませんでした。
膝が少し疲れそうです。

1:10に東武足利市駅に到着し、ここで1人乗車してきました。
佐野ICから東北道に入ります。
さすがに一般道から比べて格段にバスの走りが変わり安定した走行になりますので、乗り心地も向上
しました。
これで安らかに眠れるかと思いきや、「佐野SAで30分ほど休憩を取ります」との放送が流れ、車内
には薄明かりが点灯しました。
ふと時計を見ると2:15でした。
さすがにこの休憩には参ってしまいました。
眠りを妨げられたような感じです。
しかし、意外と他の乗客は殆ど起きていたようでバスの到着とともに、車外へ出て休憩する人が大半
でした。
どうも休憩無しのシリウス号に乗り慣れたせいか、高速バスがSAで休憩するということすら忘れて
いました。
そういえば過去に乗車したドリーム号も深夜帯にSAで休憩を取っていましたっけ。
しかし、今どきの高速バスで30分休憩するとは長いですね。
ここで30分ほど休憩を取らないと、仙台に早着してしまうからなんでしょうね、きっと。
とにかく起こされてしまったからには車外へ出ないと損した気持ちになってきますので、私も外に出
てバスのあちこちをデジカメで撮影しました。
ただし、バス車内には静かに就寝されている乗客もいますのでストロボを使わないで撮影しました。
でも、最初に撮影した1枚だけカメラの設定を間違えて思い切りストロボを発光させてしまいまし
た。
この日乗車していた方々、ごめんなさい。
発車時刻となった2:45、バスは佐野SAを出発しました。
出発時刻前に殆どの乗客が車内に戻ってきたため、乗客の乗り遅れもなく出発できました。

この2時間後ぐらいにも安達太良SAで休憩のため停車していたようですが、私はすっかり眠り込ん
でいて起きることはありませんでした。

仙台駅前宮城交通総合案内所に到着したのは、早朝の5:42でした。
向かいにある東北急行バスも東京駅からの夜行便が到着していたようで2台のバスが停車していまし
た。
バスから降りた乗客はJR線に乗り換えるため仙台駅に向かう人、バス停に迎えに来たマイカーに乗
る人、仙台から先の高速バスに乗るため待合室内で待つ人など、それぞれ散っていきました。

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